













刻一刻と流れる時間の中で、誰にも見つけられず、現れては消えていく、不定形な光。
なるべくその形を忘れないように、光学装置で記録する。
この記録をあなたが見ることで、記憶され、この光はまた少しだけ延命する。
この記録を引き金として、記憶の中の光が乱反射を起こす。
そうして呼び起こされた光もまた、同様に延命していく。
日常の様々な事象のなかに、光が内在している。
強く光るものは人目をひく。
そのエネルギーの源はどこにあるのか。
弱くともやさしい光に引き寄せられる。
そのあたたかさは如何にして生まれるのか。
いずれにせよ、定常的な光などなく、その時々で表情を変え、いつかは消えてしまうのだ。
写真は「かつて、そこに、あった」を想起させる、頼りない記号でしかないけれど、
この不確かなものが実在していたことを、少しでも長く憶えているために、写真にするのである。